雨の中に
町はずれの一本道
あんなに晴れていた空から
とつぜん零れだした雨の雫たち
傘を忘れたことを思い出して
何もない一本道を
ただひたすら歩いてゆく
ただ浴びるだけの雨の中に
何かを探したくなった
遠い日の日曜日
ラッシュの電車の中で
吊り広告が揺れている
あの遠い日曜日によく似た
なつかしく
果てしない景色が揺れていた
僕たちは日々
無造作に置かれた
作為的な言葉を浴び続けている
何を考えることもなく
それを快楽と呼ぶことさえも
難なくやりすごしてしまうんだ
今 言葉の雨を浴びながら
足並み揃えて群れてゆく遊歩道
受け身なことさえも
正しいと答えに変えてゆける
そんな物哀しい夜に気付いてしまった
今 ただ浴びるだけの日々から
静かに離れてゆくための
僕だけの傘を探し始めた記念日よ
あたりもはずれもないんだ
その道はどこまでも一本道
すべてを理解したいってことから
始まっている一本道
いつのまにか重なり合うんだ
ただ浴びるだけの雨の中に
何かを探したくなった
遠い日の日曜日よ
あの一本道の遠い記憶
ただ浴びるしかなかった時の中
どこかで違う雨を探していた僕は
by soratosan | 2019-07-11 19:31 | Trackback | Comments(0)